Наименование лота - 希少本友田不二男研究日本人の日本人による日本人のためのカウンセリング心理療法クライエント中心療法年表資料ブライアンの真空ロジャーズ
友田不二男研究 日本人の日本人による日本人のためのカウンセリング
日本カウンセリング・センター 編
日本カウンセリング・センター 発行
2009年初版1刷
371ページ
約22x15.5x2.5cm
※絶版
わが国において最も歴史あるカウンセリングの団体として、カウンセリングの実践、カウンセラー養成、ワークショップや研修会の開催、機関誌『カウンセリング研究』の発行などを行ってきた、
財団法人日本カウンセリング・センターは2021年9月に解散。本書は市販されておらず、センターから直接購入するしかないため、入手困難となっている大変貴重な本です。
【まえがき】
本書は、日本のカウンセリングの実践と研究の草分け的存在であり、財団法人日本カウンセリング・センターそして掌風会の創設者である友田不二男の生涯と人物像を明らかにする人物研究である。友田が生涯に渡って窮めんとした「カウンセリング」学習を契機とする人間性ないし人間の本質研究という「旅」に、幸いにして同行できた者が友田との学習場面(カウンセリング・ワークショップのみならず、手紙による交流、読書会や亀山山荘などでの生活等)の共有体験を通して、どのような薫陶を受けた(と受け止めている)か、また、カウンセリング研究のアカデミズムに於いてはどのように評価されているかの一端を記そうとするものである。
山本伊知郎の労作「人物史年表」は、できるだけ友田の言葉を引用し、友田自身の自己像に迫るよう努めているので、上記叙述が主観的・部分的にならざるを得ない人物像を補うことが期待される。また、同人編集の「業績表」が、これら記述を確かめ、発展させるのに役立つことを望んでいる。
友田業績表を見ると、講演がかなり含まれており、山径会が編集した「かりのやど」にいくつか収集され、一冊本に纏められているが、これを読むだけで、友田の東洋思想に基づくカウンセリング観を読み取ることができる。友田の発言は説得力に充ち、心地よく響く。しかし、これはあくまで友田の語りであり、それらをどのように聴いたかについて著したものは数少ない。日本カウンセリング・センターの機関誌「カウンセリング研究」掲載論文エッセイに散見されるに過ぎない。本書は、友田の本質がどのように受け止められ、執筆者自身の本質がどのように覚知されているかという立場から、友田という人物を、「臨済録」に引用される「古人云く、説似一物測不中」を承知の上で、明らかにしようとする新しい試みである。
構成はカウンセリングの活動編と社会的活動編、そして資料編を加えた三部構成となっている。全編は9章から成り、第1章では山本伊知郎が友田のカウンセリングとの出会いから見た友田の生涯を辿り、友田の関心と独自性とを紹介し、論じている。第2章は、東京目白にある日本カウンセリング・センターで提供された「カウンセリング演習」講座の素材となった逐語記録「M・Iさんとのカウンセリング」のカウンセラーであった工藤和仁が友田を世話人とする演習自体の逐語検討記録を手がかりに、自らのカウンセリングを振り返り、真摯に学び直した貴重な学びの推進の考察である。第3章の平河内健治の論述は、友田に接しての言葉の応答や応酬の中で何か変わる体験したものが多くみられるが、それが何によって可能になったのか、そして、その源は何かを探求したものである。第4章はロジャーズ・プロジェクトという研究グループの1994年開催学会のThe 3rd International Conference of Client-centered and Experiential Psychology において発表された友田の研究成果を紹介した英文論文を、グループの皆様のご好意によって、同グループのメンバーの一人末武康弘が日本語に翻訳し、友田の海外での評価を合わせて紹介している。第5章には藤野和子が友田の最晩年まで体験した日本人の日本人による日本人のためのグループ・カウンセリングの真髄である蕉風俳諧を基本とする友田独自の「掌風俳諧」で接した友田像を紹介している。より具体的な友田の俳諧カウンセリング実践は日本カウンセリング・センター1985年発行の「カウンセリング研究第5号」に掲載されている「友田不二男・亀山弘道公開対談記録」と「芭蕉の俳諧とカウンセリング」の特集記事、そして、「掌風のあゆみ」(山径会、1987)を参照いただきたい。第6章は友田との「易経とカウンセリング」ワークショップの様子を大塚俊博が記録したものである。これら6章が第一部のカウンセリング活動編を構成している。副題は「人間の飛躍・成長・発展をめざして」とした。
第二部は友田の社会的活動編として、掌風会の働きとその延長線上にあると思われるエコマネーについての考えの普及活動に焦点をあてて、友田の業紋がカウンセリング理論の構築と実践における単なる学術的貢献や心理的援助に留まらず、学習の実践を可能にする豊かな社会的場の創出にも友田の偉大な業績があったことを示そうとしている。読者は友田のカウンセリング理論とその実践と掌風会の拠って立つ精神とエコマネーの思想が相通ずるものであることに気がつくであろう。副題にある通り、「“お金”中心ではなぐ人間”中心の思想と実践」である。第7章では、友田自身の「儲けることと豊かになることと」という論説を掌風会機関誌「掌風第13号」から再録させていただき、山本伊知郎が解説を加えている。第8章では、中本貴之が友田のエコマネーへの関心を友田との学習に関った人間の証言を交え紹介する。第三部はこの「まえがき」冒頭で記した「友田不二男の生涯と業績を辿る」資料編である。
編集には、日本カウンセリング・センター理事会メンバーの末武康弘、鈴木喜代三、平河内健治、平野正敏、水野明、山口ゆき、山本伊知郎(五十音順)と同事務局から志賀信子が携わり、2006 (平成18)年から4年越しで準備し、奇しくも、財団法人日本カウンセリング・センター創立50周年を迎える時に、これを記念し祝う事業のーつとして出版することが可能となった。この間、計画実行の先頭に立って編集を指導した平野が2008 (平成20)年に完成を待たずに他界した。御霊の安らぎを祈り、導きに感謝する。他にセンター内外の多くの方々にご協力と励ましを受け、お世話になった。できれば、それぞれの方々の友田像も合わせて掲載できればと願っていたのであるが、紙面の都合上、割愛せざるを得なかった。論文の取捨選択については、事実上の編集代表者である平河内が一切の責任を担うものであるが、編集の具体的過程に於いては、上記山本伊知郎と志賀信子のお二人に、アイデア提供、資料の整理、逐語録作成、執筆者との連絡その他の実質的な編集作業をしていただいた。記して感謝する。
本書出版の目的は、友田の業績と人物像を記録と記憶に残すだけでなく、友田との学習に参加した者のカウンセリングの学び直しと後進の同好の士のカウンセリング学習と人間成長の援助に資することにある。荘子の「虚」の世界にも通ずる「論語」の「学而篇」にある「人知らずして慍みず」の高みにまで、「遠いかな、遠いかな」であっても、それぞれの学習を近づけんとする志が生まれることを祈念して、筆を置く。
2009年8月
平河内健治
【目次】
まえがき
第一部 カウンセリング活動編
第1章 カウンセリングとの出会い
はじめに
父親の影響
学生時代
教員時代
教育相談時代
カウンセリングとの出会い
国学院大学へ
大甕ワークショップ
ロジャーズとの決別
最後に
第2章 “道”を求めて
~“天地イコール自己”へのアプローチ~
伝わらないメッセージ
“おのずから”ということ
カウンセリング演習の録音テープ
渾然一体
一生命の神秘
天地イコール自己
老子第28章
ロジャーズ・プロジェクト一日塾の応答から
“真空”と私
もう一段上を
衝撃の諸富論文
“真空”をめざして
あとがき
[資料]「M・Iさんとのカウンセリング」の逐語記録検討会
講座「カウンセリング演習」(第5回目)の記録
講座「カウンセリング演習」(第6回目)の記録
第3章 友田不二男の言葉の力
はじめに
「古の真人」と「四料揀」
体験的傾聴における応答
友田の問いかけ
鉛筆なら、「芯」それとも「棒」
言葉でわかろうとするんですか!!
喩えとしての「ソックリさん」
おわりに
第4章 友田不二男氏の仕事についての国際的な理解と評価
はじめに
ロジャーズ・プロジェクトによる友田不二男研究
友田不二男とその仕事について
クライエント中心療法と老子
友田の「自己」論
友田における治療的関係:「真空」における人格変化
友田とジェンドリンの対比
批判的考察
国際的な理解と評価
デイビッド・ブレイジャー:「禅セラピー」
キャンベル・バートン:「パーソンセンタード・セラピー」
ジュディ・ムーア:「パーソンセンタード・セラピーにおける
‘パーソン’とは誰なのか?」;「私が私であると考える何ものかにとらわれなくなる」
おわりに
【資料】ブライアンの真空 友田不二男訳
第5章 掌風俳諧と私
はじまり
なぜ芭蕉?
カウンセリングを学びたいのに連句?
匂い付け勉強会
カウンセリングを、でなくカウンセリングで学ぶ
自由とは?
付ける
今の私の掌風俳諧学習
虚と実
友田先生は今も
[資料]「俳諧ワークショップ」での付句と添削
第6章 易経とカウンセリング
はじめに
「易経とカウンセリング」ワークショップの記録
おわりに
[資料]参考資料一・参考資料二
第二部 社会的活動編
第7章 掌風会の活動とその精神
はじめに
儲けることと豊かになることと
はじめに
「金」は無くても
「人」あれば
「掌風会」のこと
念のために
掌風会とは?
第8章 エコマネーと友田不二男
はじめに
「エンデの遺言」
地域通貨(エコマネー)
友田不二男の反応
友田不二男と「エンデの遺言」
[付記]
第三部 資料編
第9章 人物史年表
第10章 著作一覧表
あとがき